HIVかかりにくい遺伝子変異、長生きの確率低い?

戸田政考
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 エイズウイルス(HIV)にかかりにくい特定の遺伝子変異をペアで持つ人は、持たない人と比べて長生きする確率がやや低い――。そんな結果を米欧の研究チームが発表した。中国では昨年、ゲノム編集によってこの変異を加えた赤ちゃんが誕生しており、研究チームは「健康にどのような影響があるか、さらに詳しく理解する必要がある」としている。

 HIVは、「CCR5」という遺伝子を足がかりに感染する。一方、この遺伝子に変異がある人は、HIVにかかりにくいが、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなることが知られている。

 今回、米国とデンマークの研究チームは、英国のバイオバンクに登録されている約40万人のデータを分析。遺伝子のタイプと死亡届の情報を元に、CCR5の変異が平均余命に与える影響を調べた。

 その結果、初めから変異をペアで持っている人は、そうでない人に比べ、76歳まで生きる確率が約20%低かったという。研究グループは「ほかの感染症への耐性を低下させるという、これまでの報告を反映している」としている。

 論文は4日、米医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された。(戸田政考)

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戸田政考
戸田政考(とだ・まさとし)朝日新聞記者
科学医療部記者。再生医療やゲノム編集などの基礎医学に面白さを感じ、現在は医療全般を取材。気候変動問題もライフワーク。フットサル年50回が目標。テンションとコレステロールは高め。