突然のこども園休園で「転園強いられた」 保護者が提訴

遠藤隆史 大野正智
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 大阪府八尾市の私立認定こども園が突然休園したため転園を強いられ、精神的な苦痛を受けたとして、元園児の保護者10人が、園を運営する社会福祉法人や理事、園を監督する同市などに慰謝料など550万円の損害賠償を求める訴訟を27日、大阪地裁に起こした。

 訴状などによると、この園では昨年6月、理事長の息子の男性保育士(31)が園児への強制わいせつ容疑で大阪府警に逮捕された。その後、他の保育士が相次いで退職を希望するなど園の運営が混乱し、市は今年3月に休園を認可した。

 原告側は、運営法人の理事らが理事長を解任するなどの措置をとらなかったため、保育士の信頼を失って大量の退職希望者を出して休園に至ったと主張。市は法人に適切な指導・助言をせず、休園を認めたと訴えている。

 原告となった元園児の父親は提訴後に会見し、「こどもたちが新しい園になじむには時間がかかる。理不尽を強いられたやり場のない気持ちがある。このようなことは二度とあってはならない」と話した。

 市は今年4月、園児の受け入れ先として、別の運営事業者による認定こども園を新たに開園。だが、一部の保護者が「遠くて通えない」などとして、市議会に以前の園の継続を求める1万2千人以上の署名と請願書を提出。東大阪簡裁に調停も申し立てたが、不調に終わっている。

 八尾市は「訴状が届いておらず、事実関係を把握できないのでコメントは差し控える」としている。遠藤隆史、大野正智)

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