加計問題、萩生田氏発言巡る新文書 文科相公表

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水沢健一
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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設について、首相側近の萩生田(はぎうだ)光一官房副長官が文部科学省局長に伝えた内容を記録したとされる文書の存在が明らかになった。同省が20日に公表した文書によると、学部新設について「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」など首相の意向とされる文言も記されている。萩生田氏は、記録内容を強く否定している。

 文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」という題名。文科省によると、同省の常盤豊高等教育局長が昨年10月21日、萩生田氏に獣医学部新設について説明。担当の専門教育課課長補佐が、その際のやり取りを常盤局長から聞き取り、自身が把握している情報を書き加えて文書を作成した。内容は常盤局長に確認していないという。その後、専門教育課から二つの部署にメールで送られた。NHKが19日に文書の存在を報じ、同省の調査で同課の共有フォルダーから見つかった。この時期は、今年1月に国家戦略特区に獣医学部を新設する事業者が加計学園に決まる約3カ月前だった。

 文書には、萩生田氏の発言として「和泉(洋人首相)補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖(お)じ気(け)づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた」としたうえで、獣医学部新設について「官邸は絶対やると言っている」と記されている。また、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24ケ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった」とも記載。さらに「渡邊加計学園事務局長を(文科省の担当の)浅野課長のところにいかせる」という記述もあった。

 松野博一文科相は、文書について「個人の備忘録として作成したもの」と述べる一方、「副長官の発言でない内容が含まれている」と語り、内容に不正確な点があったとして萩生田氏に「大変迷惑をかけた」と陳謝したことを明らかにした。常盤局長についても「(文書に書かれたような萩生田氏からの)指示があったということではない、と報告を受けている」と語った。その一方で、文科省の義本博司総括審議官は「半年以上も前の話で、双方記憶があいまいであり、これ以上調査しても具体的なことは確認できない」とし、詳細な調査はしない考えを示した。

 萩生田副長官は20日、「加計学園に関連して、首相からいかなる指示も受けたことはない」として文書の内容を否定するコメントを発表。「不確かな情報を混在させて作った個人メモで、著しく正確性を欠いたものだとの説明とおわびが文科省から私にあった。(文書が)意図的に外部に流されたことについて、理解に苦しむとともに強い憤りを感じる」などともコメントした。(水沢健一)

 加計学園の獣医学部開設をめぐり、首相側近の萩生田光一官房副長官の発言概要とされる文書が新たに公表された20日、菅義偉官房長官は記者会見で「詳細は文部科学省から聞いてほしい」などと繰り返した。安倍晋三首相は19日の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べたが、首相官邸が主導して疑念に答える様子はうかがえない。

 文科省が作成した「総理のご意向」などと記された文書をはじめ、加計学園をめぐる一連の文書をめぐっては、萩生田氏や内閣府、文科省でそれぞれ言い分がバラバラな状態だ。しかし、菅氏は会見で「それぞれの大臣が責任を持って答弁している」と主張。首相が状況に応じて会見などで説明するかどうか問われると、「考えていない」と否定した。

 民進、共産、自由、社民の野党4党の国会対策委員長は20日、加計学園の問題をめぐり国会閉会中の予算委員会の集中審議などを求めることで一致。前川喜平(きへい)・前文科事務次官の証人喚問を改めて求めることも確認し、自民党側に伝えた。だが竹下亘自民党国対委員長はいずれも拒否。菅氏も会見で、閉会中の審議について「国会で決めること」と、一貫して消極的な姿勢を示している。

■「10/21萩生田副長官ご…

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