春の東福寺で国宝の上を歩く 中世伝える最大級の三門

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文・桝郷春美〈フリーライター〉 写真・清水隆
【動画】東福寺三門=金川雄策撮影
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 京都駅からほど近くにある東福寺。紅葉の名所として知られていますが、魅力はそれだけではありません。京都最大の大伽藍(がらん)には、中世の禅宗建築が伝えられています。その中でひときわ存在感を放つ三門は、現存する中で最古にして最大級のものです。4月28日から5月7日まで開かれる春の「京都非公開文化財特別公開」(京都古文化保存協会主催)では、普段は非公開の国宝の三門に登ることができます。

 東福寺は、臨済宗東福寺派の大本山として、京都五山の一つに数えられている禅寺寺院です。鎌倉時代の1236年に創建。奈良の寺がモデルとなっており、東大寺の大きさと、興福寺の隆盛を願い、それぞれ一字ずつ取って東福寺と名付けたそうです。

約600年前の雰囲気を味わう

 現在の三門は室町初期の1425年に、室町幕府第4代将軍だった足利義持によって再建されました。三門とは三解脱門の略で、人間は悟りの境地に達するために三つの関門を越えなければならない、という禅宗の思想を目に見える形で表したもの。それを空(とらわれない)、無相(執着しない)、無作(ほしがらない)と言い、東福寺の三門は悟りを開いた人しかくぐることができない門です。

 そのため普段は見上げるだけなのですが、特別拝観では、棟高約22メートルのこの大きな門の2階部分に登ることができます。

 東福寺の広報主事の永井正俊さんに案内してもらい楼上に上がり、法務部長の爾英晃(その・えいこう)さんにお話をうかがいました。「実際に見て、国宝の上を歩いて、約600年前の雰囲気を味わうことで、三門の魅力を建物全体から感じていただきたいです」と爾法務部長は話します。

 山廊から階段で楼上に上がると、そこには、地上から仰ぎ見るだけでは分からない、別世界が広がっています。

 楼上内部に入ってまず感じた…

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