(ナガサキノート)総集編:心の底から声「平和を」

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山野健太郎・35歳
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想いを込めて:4 合唱

 かつてあった浦上の情景を歌った、被爆者歌う会「ひまわり」の代表曲「浦上」。田川代枝子(よしこ)さん(83)=2013年掲載=は今でも、歌うと涙がこぼれる。「おばあちゃんの顔が浮かんでね。浦上天主堂のアンゼラスの鐘が聞こえて、景色が浮かんでくる」

 浦上には母の実家があり、そこに住んでいた祖母と叔母が亡くなった。「原爆で大切なものを一瞬にして亡くした。なんでこうなったのか、その気持ちを口では簡単に言えないけれど、歌うことで表現できる」

 田川さんは子どもの頃から歌が好きだった。浦上天主堂のミサでラテン語で聖歌を歌い、女学校の時には「ビロードのような声」と言われた。ひまわりに関わるようになったのは04年。「被爆者だけで合唱団を作りたい」と誘いを受けた。結成時からの唯一のメンバーだ。とにかく歌が大好きという田川さん。「ひまわりに入ったことで週に1回、レッスンで歌えるようになった。今となっては生きがいです」

 言葉で平和を訴えるだけでなく、歌に乗せることで伝わるものがある。ひまわりは「歌う語り部」だと考えている。「歌詞だけ読んでも心には響かない。メロディーを付けてコーラスで歌うことで心にしみる。腰が曲がって足を引きずりながら、被爆者が平和のために歌う。平和のために後を継いでね、という思いです」。声が出る限り、続けていきたいと思っている。「叫ぶような気持ちで、平和のために歌っているんです」

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