認認夫婦、自宅に2人きり 頼みはヘルパー 認知症社会

有料記事

十河朋子
[PR]

 大阪府内で2人で暮らす夫婦は、ともに認知症だ。

 先に症状が出たのは妻の薫子(しげこ)さん(84)だった。2007年、アルツハイマー型の認知症と診断された。今は、5分前のことも忘れてしまう。

 夫の博之さん(82)は12年ごろ、脳血管性の認知症と診断された。会話がスムーズな日もあれば、かみ合わない日もある。

 薫子さんが病院に行く日を忘れてテレビを見ていると、以前は博之さんが「はよしい言うてるやろ」とせかした。最近は博之さんの症状も進み、そろって忘れている。

 博之さんには直前の記憶はある。薫子さんは「さっき私、何言うた?」と繰り返し聞く。博之さんは「あのなあ」といらつきつつも、横を向いて「しゃあないねんなあ」と言う。

 2人の暮らしは、近くに住む長女の浩子さん(54)と、介護保険のヘルパーの手を借りてようやく成り立っている。自分でトイレに行け、デイサービスで入浴するので、必要なのは主に日常生活の支援だ。

 浩子さんはピアノ講師の仕事をしながら、毎日1~2回実家に通う。以前は料理の下準備もしたが、ヘルパーが毎日来てくれるようになってからは、もっぱら話し相手になり、様子を見守っている。夫は「一緒に住もう」と言ってくれるが、互いに気を使うと思い、踏み切れない。

 ヘルパーは主に食事の準備や…

この記事は有料記事です。残り1338文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら