母さんごめん、もう無理だ(きょうも傍聴席にいます)

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小林孝也
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 100歳まで頑張る――。そう話していた98歳の母の首に、74歳の息子が手をかけた。老老介護のすえの悲劇。2人だけの暮らしに、何があったのか。

 6月25日に岐阜地裁であった裁判員裁判

 裁判長「被告人を懲役3年に処する。5年間その刑の執行を猶予する」

 10年以上介護してきた母を殺した殺人の罪。無精ひげを生やした男は、背中を丸め、表情を変えずに判決を聞いた。

 法廷での証言などによると、男は福岡県の高校を卒業後、25歳で旧国鉄に入り、定年まで大過なく勤め上げた。過去に警察のお世話になったのは交通違反だけ。両親と妻、2人の娘の6人家族で、岐阜県大垣市内の一軒家で、ごく普通に暮らしてきた。十数年前、父が他界。成人した娘たちは結婚して家を離れた。

 人生の歯車が狂い始めたのは2003年。母が両ひざを骨折し、付き添いなしで歩くのが難しくなった。訪問介護を利用したが、妻と母は次第にうまくいかなくなり、5年ほど前、妻が家を出て行った。

 それ以来、母との2人暮らし…

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